富浦でキスを釣る! 後編
”スタート”は悪かったが、”スタート”は良かったキス釣り。
これから迎える爆釣の兆しを胸に、餌を取り付ける。
「あ、釣れたかもしれません」
そうつぶやいたのは、同じボートに乗る友人。
特にテンションを上げるわけでもなく、たんたんと糸を引き上げ、針にかかっているキスを見せつけてくる。
これも良型。
富浦のキスはサイズもいいし、釣れるしやっぱり来てよかった!
そう思ったのもつかの間、友人のキスからぱったり釣れなくなった。
ボートに乗っている感覚も忘れたころ、ふと周りをみると大分沖に流されていることに気が付く。
「流されてません?」
「流されてますね」
「・・・」
他の釣行者が豆粒に見えるほど沖に流されている私たち。
「戻りますか」
ここからが大変だった。
来るときは船に引かれ、悠々と沖に出たが戻るにはオールを漕いで戻らなくてはいけない。
普段運動していないおじさん2人には過酷な苦行となった。
ひぃひぃ言いながら別チームのボートに近づき、どれだけ釣れたか確認すると、首を横に降る2人。
まさか、1匹も釣れてない...?
「釣れてなんかーい!」
1匹たりとも釣れていなかった。かく言うこちらも、最初の2匹から釣れていない。時計を見ると9時。マズメは終わりアタリもない。そう思うとどっと疲れが戻って来て私はダウン。
粘りたかったが、波の揺れもあり、ここでギブアップ。ボート釣果はキス2匹で終わった。
陸に戻り、さぁどうすると作戦会議をしたところ、魚に触らなきゃ帰れないと、友人の強い要望で近くの堤防に移動。
曇り空の富浦浜には海水浴客と釣り人が多数おり、陸に活気はあった。
穴釣りならなにか釣れるだろうとテトラを覗くが、残念でしたーとあざ笑うかのように潮は引いており攻めれる穴が無い。
それでもと、針にあまりのジャリメを付けて、岸に落とすとなにやらアタリが。
「なんかいるぞ!」
友人のテンションは一気にあがるが、アタリに合わせても乗らない。
どれ、と私も糸を垂らすと何か魚のアタリがある。
が、乗らない。たぶん小魚だなと思いつつも針を小さいのに変えた方がいいと友人にアドバイスを行い、針をサイズダウンするとしっかり乗った。
あがったのは石鯛の稚魚。口が小さいのでハリがかからなかったのだ。
稚魚でも嬉しいと子供のようにはしゃぐ友人は、釣りを心から楽しんでいるようでなによりだった...